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「本来推進派にあたるはずのスタッフが、抵抗派の仮面を被せられてしまう」という状況

Writer: 佐藤 和弘佐藤 和弘

組織変革の観点から見えてくる1つの悲劇は、本来推進派にあたるはずのスタッフが、「このままでいい」「変わりたくない」「新しいことをやりたくない」といった現状満足の(ネガティブな)空気に支配されている組織の中では、逆に抵抗派としてとらえられてしまいかねない、ということです。


一般論として、本来抵抗派にあたるスタッフの立場からすれば、自分が抵抗派であると自覚してはいないと考えるのが自然でしょう。そしてむしろ、居心地が良い現状満足の空気に水を差すスタッフこそが抵抗派であるととらえてしまうことも、やはり自然なことかもしれません。


「抵抗派」と一言で言っても、変化に適応しようという空気が広がっている組織において抵抗派としてとらえられるのと、現状満足の空気に支配されている組織において抵抗派としてとらえられてしまうのでは、その意味合いは大きく異なります。おそらく、後者は前者に比べて、強烈な排除の論理が働きやすいはずです。


現状満足の組織において、本来推進派にあたるはずのスタッフが抵抗派としてとらえられ、排除の論理が働き、その圧力に押され、落胆してバス(組織)から降りていく。こうして、「本当に頑張っているスタッフが報われない」事実が出来上がり、それを側で見ていた慎重派の「沈黙という同調」がさらに強まってしまう。これが、現状満足の空気が現状満足の空気をつくる(一つの)メカニズムなのかもしれません。だからこそ、


「本来推進派にあたるはずのスタッフが、抵抗派の仮面を被せられてしまう」


このような状況に追い込まれるスタッフを増やさないようにしなければなりません。

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