平時の医療において、スタッフ1人ひとりの本当の「生の声」を聴くことは難しい。
ムラの住民として暮らすスタッフにとってみれば、万が一自分の「生の声」が他のムラ人に漏れ、ムラの非公式の掟に反する(空気を乱す)と判断されてしまうと、そこで生活できなくなってしまう。
ムラ人は、そのことを普段の生活で嫌というほど理解しているから、有事であればまだしも、何事もない日々を過ごす平時において、わざわざそのようなリスクを負うメリットはない。したがって、あくまでも本人にとっては「合理的」に口をつぐむのであって、自分の身を守るためには賢い(そして自然な)選択なのである。
だからこそ変革リーダーは、それらを理解せずに、簡単に「スタッフの心理がわかる」と考えないことが肝要である。ただ、もちろん、「スタッフの心理はわからない」ということは、「スタッフの心理をわかろうとしなくていい」ということではない。わからないからこそ、わかるためにもがかなければならない。
そして、そのために大事なことは、「美しい言葉(ビッグワード)」に逃げず、「普通の言葉(スモールワード)」を使って考えること。リーダーとしての自覚を持つほどに忘れてしまいがちな、その「普段の言葉」にこそ、組織の空気の正体に近づく重要な気づきが隠されている。
תגובות