講演で自己紹介を終える際に、定番と言ってもいいセリフがあります。それは、「僕が誰かというのは重要じゃなくて・・・」というセリフです。
たしかに、一般的に教育において、「誰から学ぶのか?」という視点は大事です。ただ、僕が提供しているノンテクニカルスキルの組織学習において大事なことは、あくまでも「誰と学ぶのか?」であり「何を学ぶのか?」であり「どのように学ぶのか?」です。
なぜならば、当然ながら現場の問題解決は、一緒に組織で学習をしたスタッフ同士で行わなければならないからであり、実際のその現場には講師(ヨソ者)はいないからです。実際に現場の問題解決を行っている時に困難に直面しても、その場に答えを教えてくれる講師(ヨソ者)はいないからです。
もし組織学習が「誰から学ぶのか?」によって成り立ってしまっているのであれば、逆に言えば、それは講師(ヨソ者)がいなければ組織学習が成り立たないことを意味してしまいます。しかし、医療現場は、ともすると24時間365日の世界です。その継続する世界の現場の問題解決においては、
講師(ヨソ者) ↓教える 現場スタッフ ↓ 現場の問題解決を行う
ではなく、
現場スタッフ ⇅学び合う 現場スタッフ ↓ 現場の問題解決を行う
を前提として、講師(ヨソ者)は、「誰から学ぶか?」という強烈な慣性力を自ら振り解き、「誰と学ぶか?」「何を学ぶか?」「どのように学ぶか?」の3つの視点に参加者(スタッフ)の方々の関心が向かうように働きかけていく。これは、講師(ヨソ者)からすると、ともすれば自らの存在意義を否定してしまう怖さがあるかもしれません。しかし、スタッフの方々が日々一緒に過ごしている患者さんの顔がイメージできれば、あるいは自分自身が出会ってきた患者さんの顔を思い浮かべれば、
自らの存在意義の否定の怖さ<誰のためなのか
によって恐怖のマネジメントはできるのではないでしょうか。だからこそ、
「僕が誰かというのは重要じゃなくて・・・」
といった言葉をあえて使っていくことも大切になってくるのです(ただ、実は自己紹介が苦手だということもあるのですが・・・)。
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