ノンテクニカルスキルを「組織で問題解決する技術」と表現し、トップダウンの組織変革が重要であることは百も承知のうえで、あえてボトムアップの組織変革にこだわり推進しているのは「患者さんは今この瞬間も現場にいる」からです。
患者さんの半径5メールにいるのはスタッフであり、患者さんが「今」求めていることにすぐに応えなければならない。それができなければ、いくら壮大な美しいビジョンを描いたとしても、極論すれば、スタッフも患者さんも「私たちが今求めてるのは)そこじゃない問題」を(心の中で)突きつけるだけです。
患者さんの半径5メートルに近い人ほど、患者さんやスタッフのリアルな苦悩がよくわかります。そして、その苦悩は、10年、5年、1年先ではなく、今この瞬間に何とかしたい(して欲しい)と考えています。だからこそ、今この瞬間から組織であるべき姿と現状のギャップを埋める行動が求められるのです。
しかし、そのような行動は、往々にして合成の誤謬、群盲象を評す、木を見て森を見ずになりがちで、今日明日は良くても、1年、5年、10年と時が過ぎるほどに、本来の目的地と現在地がずれていってしまいがちです。
したがって、これも結局はトップダウンとボトムアップの両利きの組織変革が必要になるわけで、あとは「時と場合と人の問題」、つまり、どちらからどう取り組むかが論点になります。だからこそ、右利きや左利きの人が、利き手ばかりを使ってしまうことにならないようにしなければなりません。
Comments