「人材マネジメントの全体像」と、それら全ての前提となる「あるべきスタッフ像」のそれぞれを考えるうえでは、これらの健全な問いを自問することが大切です。答えは問いの質で決まります。
【あるべきスタッフ像】 あるべきスタッフ像は、言葉や文字ではなく、「例えば、あの◯◯さんのようなスタッフですね」と言ったように、ロールモデルになる(あるべきスタッフ像に近い)スタッフが実際にいることが大切です。もちろん、完璧なスタッフなどいないでしょうが、組織の中にロールモデルが1人もいないのに、それを目指してくださいと言うのは、スタッフにとっては、ある意味、無理難題と言えます。人は、「身近に憧れる◯◯さんがいるからこそ、自分もその人のようになりたいと思える」のではないでしょうか。
【採用と退職のマネジメント】 「地域」の適材適所を考える採用と退職のマネジメントにおいては、それが推進派なのか抵抗派なのかによって、180度意味合いが変わってきます。推進派を採用するのも抵抗派が退職するのも、「本人」にとっても「自施設」にとってもハッピーですが、抵抗派を採用するのも推進派が退職するのも、「本人」にとっても「自施設」にとっても不幸な結果になってしまいます。
【配置のマネジメント】 「組織」の適材適所を考える配置のマネジメントは、ローテーションや部署移動といったレベル感ではなく、まずは、例えば「ある治療の穿刺業務と介助業務の分業」といったレベル感から、個々のスタッフの強みや興味に応じた適材適所を考えていくことが大切です。そのような業務レベルの適材適所がどうしても難しい場合に、部署レベルの適材適所を考えるのが正しい順番と言えます。
【評価のマネジメント】 頑張っても頑張らなくても評価が「平等」であれば、「頑張るだけ損だ!」と考えてしまっても無理はありません。頑張ったスタッフほど「公平」に評価されるという安心感があるからこそ、人は頑張れるのではないでしょうか。大事なことは、「機会の平等と結果の公平」です。
【報酬のマネジメント】 置かれた環境(配置)の中で100粒の汗を流したのであれば、100粒分報われる「何か」が欲しいと思うのは、ごく自然なことです。もし、それが外的報酬で十分でなければ、足りない分は内的報酬で埋めるしかありません。足りない分が大きく、それが長く続くほど、本人は辛い思いをし続けることになります。もちろん、内的報酬で埋められるからと、外的報酬から目を背けないようにもしなければなりません。
【育成のマネジメント】 いつのまにか指導や研修を行うこと自体が目的化してしまわないように、「何のために指導や研修を行うのか?」を常に押さえておく必要があります。それは、あくまでも現場の問題を解決するためです。だからこそ、現場の問題のリアルがわからなければ、本来、正しい指導や研修を考えることはできないことがわかります。
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