• 佐藤 和弘

キレイゴトとリアリズムの間

「そんなうまい話なら、誰も苦労しないですよ」


キレイゴトだけだと、人は納得せずに動いてくれない。一方で、


「そんな身も蓋もない話なら、誰も希望を持てないですよ」


リアリズムだけだと、人は共感せずにやはり動いてくれない。


このようにとらえると、組織変革におけるリーダーシップは、キレイゴトとリアリズムの間を右往左往しながら、状況によりその都度異なるであろう最善の答えを地道に導き出していく営みなのだと言えます。


もちろん、人にはそれぞれタイプというものがありますから、キレイゴトとリアリズムの間をバランスよく右往左往できる人もいれば、つい、どちらかに寄り過ぎてしまう人もいるでしょう。


ただ、後者の場合は、誰かに自分のタイプに合わない役割を担ってもらえばいいわけで、必ずしも自分1人で両方の役割を担わなくてもよいはずです。


そして、ここで難しいのが、とはいえ自分とタイプが違う(場合によっては正反対のように見える)人と長旅を並走し続けられるかどうかです。


そもそも、「類は友を呼ぶ」と言いますし、無意識的に自分と同じようなタイプの人を求めてしまい、逆に自分と違うタイプを担う人を受け入れにくいかもしれません。


一方で、仮に自分と違うタイプの人を受け入れたとしても、長旅を並走する中、さまざまな場面で意見の対立が起こってしまうかもしれません。


だからこそ大事なことは、「各論反対、でも総論賛成」をお互いに握っておけるかだと言えます。つまり、


「お互いの意見は違う(各論反対)けれど、この目的を実現したいということは共通してるよね!(総論賛成)」


ということをお互いに握っておく。各論で対立したら、その都度総論に戻って合意を確認するのです。


そして、ここでのポイントは、「総論賛成、でも各論反対」ではなく、あくまでも「各論反対、でも総論賛成」という順番にあります。


「私たちには、こういった共通点はあるけど、こういった意見の違い(相違点)があるよね」

「私たちには、こういった意見の違い(相違点)はあるけど、こういった共通点があるよね」


両者の表現によって意味合いが大きく変わってきます。


組織変革において、健全な意見の対立と議論は大いに結構。むしろ、意見が一致し続ける時の方が、「何かおかしい」と健全に疑わなければなりません。


目的を押さえることによって両者の拠り所をつくりながら、異なる意見の点と点をつなげていく。その先に、1人では見えない新しい景色が待っているのではないでしょうか。

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