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  • Writer's picture佐藤 和弘

ゼロ→イチを生成AIに任せる

人間だけでなく、生成AIがノンテクニカルスキルを発揮できる時代になった今、組織全体として、生成AIを「スタッフの能力(頭脳)を拡張する道具(手段)」ととらえ、医療現場の人材育成においても土台として組み込んでいく姿勢が求められます。これは、人材育成の一部に取り入れるのではなく、あらゆる人材育成で生成AIの活用を前提とするということを意味しています。


もちろん、実際に医療現場で生成AIを活用するためには、個人情報や機密情報、著作権など知的財産に関する問題を解決しなければなりません。したがって、各医療機関において、生成AIの利用に関するガイドラインの作成・運用は不可欠になるでしょう。


ただ、今後スタッフ不足のさらなる深刻化が予想される中、「なんとか人力で現場の問題解決を行い凌いでいく」という努力にも限界が来るはずです。そして、実際にそうなってから生成AIを組織に取り入れようとしても、適応するまで相当の時間を要し、その間に事態がさらに深刻化してしまうかもしれません。


だからこそ、今この瞬間から、組織全体に生成AIを馴染ませていく、生成AIの活用を日常業務における他のさまざまな道具(手段)と同様に当たり前にしていく、自然なことにしていくことは、とても大切になってきます。


では、生成AIをスタッフの能力(頭脳)を拡張する道具(手段)ととらえるということは、どういうことなのかというと、一言で言えば、


「ゼロ→イチを生成AIに任せる」


ということを意味しています。例えば、ある出来事が起こった「現状」を基に「あるべき姿」をゼロから人間(スタッフ)が描こうとするのは、実際にはとても難しい営みです。ただもし、「あるべき姿」の叩き台のようなものを生成AIが瞬時に生成してくれて、その叩き台を参考にしながら具体的な「あるべき姿」を膨らませていくことができれば、スタッフの負担が大きく減るのではないでしょうか。


「生成AIがゼロ→イチを担い、人間(スタッフ)がイチ→ジュウを担う」


このような考え方は、現場の問題解決そのものはもちろん、あらゆる人材育成においても、前提にしていくべきものなのではないかと思います。そしてこのことは、医療現場の人材育成のあり方を根本から創り変える、非常に大きなインパクトがあると言えます。

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