もし、「誰をリーダーに据えるか」、つまり「リーダーの配置」が有事の失敗を決定づけるほどの原因であるとすれば、それは平時のうちから「有事のためのリーダー育成」を通じて選抜しておかなければ、いざ有事になってからでは勝負は決まってしまっていると言える。
平時と有事は非連続だが、有事の意思決定や行動は、あくまでも平時での長年かけた準備の積み重ねの結果である。平時に有事のリーダーシップを行っても、変人扱いやオオカミ少年扱いされるか、嫌われるくらいで済む。だが、有事に平時のリーダーシップを行ってしまうと、組織を破滅へと導いてしまいかねない。
したがって、平時のうちから有事のためのリーダー育成を行いながら、非連続的に起こる有事に備えて「誰をリーダーに据えるか」が極めて重要。このように考えると、リーダーの配置を行う恐ろしさを理解せざるを得ないだろう。 ************************** 昭和天皇自身が、太平洋戦争の敗戦について4点を挙げ、その一つに「常識ある主脳者(原文ママ)の存在しなかった事。往年の山県(有朋)、大山(巌)、山本権兵衛、と云ふ様な大人物に欠け、政戦両略の不充分の点が多く(略)」と『昭和天皇独白録』で明かしているほどだ。確かに天皇の胸中を理解できる人材がいなかったことが、太平洋戦争時には明白であった。
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