• 佐藤 和弘

人工知能と共生するあるべき姿を描く組織能力を高める

テクノロジーの加速する時代において、人工知能(やロボット)が登場せずに描かれる【あるべき姿】では、これからの変化に適応することはますます難しくなります。


【あるべき姿】は未来の現実世界を想像することですから、「ウチの施設に人工知能を導入するなんて、とてもじゃないが無理だ・・・」といったように、現在の現実世界をもとに諦めてしまう必要はありません。想像だけなら自由だからです。ここは想像と割り切って、人工知能と共生する【あるべき姿】を描いてみることは、組織的な「未来への予行演習」になります。


そのうえでまず大事なことは、【現状】を把握することです。というのは、この【現状】の把握とは、自施設の状況や背景といった「内部環境」だけでなく、他施設や他業界、あるいは他国といった「外部環境」の状況や背景を勘案することを意味するからです。そして、「◯◯業界では、今、このようなことに人工知能が活用され始めている」といったように、さまざまな外部環境を勘案しながら、人工知能に関する知識(最新の動向)を得ていくことが大切です。なぜならば、その把握した【現状】の情報が、【あるべき姿】を描く際の材料になるからです。


例えば、あるロボットのように、さまざまな障害物や人を認識しながら自立移動するロボットがもし医療機関にいたとしたら、どのような【あるべき姿】、つまり未来の医療現場が描かれるだろうか?このようなロボットが医療現場にいた場合、医療者の業務はどのように変わるだろうか?もっといえば、ロボットと共生することによって、これまで人間の力だけでは見ることのできなかったどんな景色が見えるようになるだろうか?


このようなことを想像しながら、人工知能と共生する【あるべき姿】を描く組織能力を高めていく。そしてこれは、「良い問題」を解決する、問題設定型の問題解決にあたります。


「問題発見型の問題解決は、『不満をなくす』こと」 「問題設定型の問題解決は、『満足を高める』こと」


このようにとらえれば、人工知能と共生する【あるべき姿】を描き【現状】とのギャップを埋めるという問題設定型の問題解決のプランをつくってみることによって、たとえすぐには実行はできなくても、擬似体験を通じてポジティブな組織の空気がつくられるのではないでしょうか。その未来への予行演習を続けながら、いずれ実行するその時に迅速に適応していく準備を整えておくことが大切になります。

Recent Posts

See All

メタバースという流行り言葉の背景には、「非現実世界(バーチャル)を現実世界(リアル)に近づけていきたい」という、人間の自然な欲求があるように思います。 あくまでも、僕らが日々生活しているのは、今この瞬間も目の前に見えている現実世界であり、いかにこの現実世界を心身ともに豊かに過ごすかは、誰しもが関心を持つことだと言えます。 その上で、テクノロジーの進化によって、従来の文字や音声の世界から、画像や動画

「問題を正しく解決するよりも、正しい問題を解決することが大事」 もちろん、「問題を正しく解決する」ことも「正しい問題を解決する」ことも、両方大事です。ただ、正しい問題において間違った対策を実行すれば「解決できなかった」だけで終わるかもしれませんが、間違った問題を正しく解決しようとしてしまうと、本当の問題が解決しないだけでなく、それによって別の問題が起こってしまうかもしれません。その意味では、上記の

昨今、「パーパス(経営)」といった言葉が流行っています。「存在意義」と訳されることもあるパーパスですが、これは本来は「目的」という意味になります。経営単位であれ個別業務単位であれ、ある活動は目的を実現するための手段ですから、「何のためにその活動を行うのか?」という目的を押さえることは、これまでも、そしてこれからも重要であり、本来は普遍的なことです。 では、なぜ、このような整理をしたのかというと、と