「(現場)医療の教育は壊滅的です」
ある変革リーダーとの会話で伝えたことだ。いつも「Off-JTはOJTに従う」と言っているが、これはあくまでも育成のマネジメントだけを見たときの話。本当に大事なことは、「OJTもOff-JTも組織のあるべき姿に従う」ということである。
よく教育担当者から、自施設の様々な研修を企画している上で、「研修で学んだことをどうやって現場で使ってもらうかが難しいです・・・」といったお悩み事を聞く。だが、このお悩み事自体がいかに不思議なことを言っているかに気づかなければならない。そのために、いつも次のように伝えている。
「本来は、現場で求められていることがあって、けれど今の自分たちの能力では足りないから、それにもとづいた研修をするはずです。だから、研修で学んだことが生かせないわけがないですよね。求められていることを学ぶのだから」
これは、様々な組織が陥る「主従の逆転現象」の典型的な例である。つまり、現場で求められているものがあるから研修で学ぶはずなのに、研修で学んだことをどう現場で生かすかといった主従が逆転した教育設計をしてしまっているのである(もっと言えば、現場で求められているものがあるなら、まずはOJTの設計を先にしなければならない)。
さらに、現場で求められていることとは【対策】に過ぎない。問題解決の六大大陸が理解出来ていれば、最後の大陸の話の前に、実質的な最重要大陸である【あるべき姿】の話をしなければならないことはすぐにわかる。あくまでも、組織の【あるべき姿】として描く未来の現実世界があって、それを実現するために【対策】として現場で求められることがある。つまり結局は、
①組織の【あるべき姿】はなにか? ↓なので、現場で求められることは◯◯だから ②OJTの設計はどうするか? ↓そして、どうしてもOJTでは足りない学びを得るために仕方なく ③Off-JTの設計はどうするか? の順番で教育を設計するのが、正しい順番であり、正しい主従関係なのである。
これが、「教育のための教育」か「組織変革のための教育」かによって、すでに勝負は決まっているという意味である。
このように考え、自施設の「内部・外部の教育計画」を洗い出したとき、その全てが組織のあるべき姿(現場で求められていること)にもとづいているだろうか。その説明が明確にできるだろうか。残念ながら、まだ明確に答えてもらったことはない。だが、これから本気で変革を進める組織は、このことから避けて通ることはできない。だからこそ、人材育成をゼロから創り直す覚悟が求められる。
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