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Writer's picture佐藤 和弘

他者の言葉は「答え」ではなく「ヒント」と割り切る

例えば、一般的な講演の内容を、大きく2つの方式に分けてみます。


①誰かの言葉の引用系

②自分の考えの披露系


何事にもメリットもあれはデメリットもあると言えますが、これらの方式も例外ではありません。

①のメリットは「効率性」です。


「◯◯はこう言っています」

「⬜︎⬜︎はこう言っています」


さまざまな「誰かの言葉」に触れる、言い換えれば、さまざま角度から学びを得ることは、それらの言葉のつながり(共通点)や相違点を通じた学びを得ることもできます。デメリットがあるとすると、「これって他でも聞いたことあるよなぁ」「それだったら、本家の話を直接聞いたほうがいいよね」と感じてしまいかねないことかもしれません。


対して、②のメリットは「独自性」です。これまで(誰かの言葉では)触れることがなかったユニークな角度からの学びを得ることによって、新たな気づきを得ることができます。デメリットがあるとすると、「それってあなたの(ひとつの)考えに過ぎませんよね」と感じてしまいかねかいことかもしれません。ただ、


「自施設の患者さんのための本当の答えは、自施設の現場にしかない」


このようにとらえてみると、①も②も、本当の答えを見つけるためのヒントにはなるでしょうが、本当の答えそのものは、自施設の現場で見つけるしかありません。①や②で語られる言葉には、自施設の患者◯◯さんのことが背景として含まれているわけではないからです。


このように、他者から学ぶ際は、それを答えととらえるのか、それとも(答えを見つけるための)ヒントととらえるのかによって、その意味合いは大きく異なります。たしかに、答えととらえるほうが楽でしょうし、暗黙的・希望的に答えととらえてしまいやすいかもしれません。ただそうすると、結局、現場で答え合わせしてみると答えが合わずに問題が解決しない、その結果、問題が先送りされて深刻化する、といったことになりかねません。


このことをふまえても、「他者の言葉は答えではなくヒント」と割り切ったほうが、急がば回れで問題解決に近づくのではないかと考えています。

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