• 佐藤 和弘

奈良民医連主任研修で講演


まずは、午前中で議論した内容を、問題解決の六大大陸をもとにプランに練り上げ。形式的には【目的】が最重要な大陸であるが、その願望を現実世界に変えていくのは【あるべき姿】である。その意味では実質的に最重要大陸であるといっても過言ではない。だからこそ、【あるべき姿】を映像(行動)レベルで表現することの重要性と難しさを実感したはず。


問題解決の落とし穴でよく取り上げている「色んな道具を使いすぎ問題」でわかるように、一般的な医療現場で使われる様々な思考ツールは、この【あるべき姿】を描かずに問題解決することを前提としている。だからこそ、


「あえて健全に批判すると、僕から言わせれば、なぜ【あるべき姿】を描かないのに、【現状】とのギャップである【問題】がわかるんですか?」


と言わざるを得ない。これが、知識(食材)と考える力(調理の腕)の違いである。


ただ、問題解決の六大大陸は最も重要かつ必要なノンテクニカルスキルであるものの、今回の研修の主題ではない。今回の研修の主題は、「人材マネジメントの森(全体像)」を理解することである。


ともすると、人材マネジメントの全体像は、実際にそれを仕組みとしてつくっていく(意思決定していく)立場でなければ、自分には関係のない(考えても仕方ない)ことだと思いがちだ。しかし、例えば新しい場所で暮らす時に、その地域の「決まり事」がわからなければ生活するのが不安になるだろう。だからこそ、突き詰めれば全てのスタッフが生活するための「決まり事」を理解しておくべきである。


もっと言えば、地域の決まり事は、実際にそこに住む人たちの意見が反映されていなければならない。だからこそ、その決まり事は、役割分担をしながらも、皆でつくっていくことが大切である。そして、その重要な役割として、トップとボトムの意見(情報)を直接把握できる、ミドルリーダーが存在が大切になるのである。


この人材マネジメントの全体像もさることながら、最後に簡単に共有した「組織の2:6:2の法則」は、やはり破壊力抜群。


組織の2:6:2の法則は、誰のため何のための羅針盤なのか。それは、変革リーダー自身が迷子にならないための羅針盤である。この羅針盤を手元に持っておかなければ、思いやりがあり優しいリーダーほど、スタッフ(特に抵抗派)の半径5メートルに入り過ぎることによって、その中の情理の世界に迷い込んでしまう。だからこそ、羅針盤を持ち、半径5メートルの中にあるリアリズムを理解しながらも、自らその中に入り込み過ぎないようにしなければならない。


これだけ意欲のある方々が集まるだけあって、研修後の質疑応答も熱い議論の展開に。これまで、テクニカルスキル中心で支えられてきた医療現場に、ノンテクニカルスキルというもう一つの武器が浸透すれば、これだけリーダーが飛躍するということを体現する学びの場であった。

© 2013 by Kazuhiro Sato