感度の高い教訓と思考変容
- 佐藤 和弘
- May 30
- 2 min read
講師(ヨソ者)から学ぶ「料理教室方式」から、現場スタッフ同士で学び合う「おばあちゃんの知恵袋方式」の組織学習へ。
現場の研修化、つまり日常業務そのものが学びの場であるとする考え方においては、「教訓をどのように引き出していくか?」ということが肝になりますが、そのうえで大事なことが、「感度の高い教訓を引き出す」ことです。
ここで言う感度が高い教訓とは、「行動に移せる気づき」を意味しています。
ある部署(組織)で問題が起こったとします。いつも何かと手や口を出すリーダーAさんがその日はたまたま別の業務で忙しく、スタッフのみで問題解決を行わなければならないことになりました。しかし、「皆、いつも消極的だから、問題解決は進まないだろうな・・・」というAさんの予想に反して、スタッフは積極的に問題解決に取り組みました。
例えば、このような出来事において、「やはり、スタッフのモチベーションを高めることは大事だ!」というのは、感度の低い教訓と言えます。なぜならば、Aさんにとって、この教訓を引き出すだけでは、具体的にどのような行動をすればいいかがわからない、つまり行動に移しにくいからです。
それに対して、「リーダーシップは、『何をすべきか?』とは逆に、『何をすべきでないか?』を考えることも大事だ!」というのは、感度が高い教訓と言えます。今回はたまたまではあったものの、Aさんが手や口を出さなかった結果、むしろスタッフのモチベーションが上がって積極的な問題解決につながったと捉えることができるからです。
この感度の高い教訓を引き出したことによって、Aさんはリーダーとして、行動の選択肢を増やすことができました。さまざまな物事は時と場合と人によるという前提のもと、ある状況においてはこれまでのように手や口を出すが、ある状況においてはあえて手や口を出さないようにすることができるようになったからです。
「行動変容」の重要性についての話はよくありますが、行動は思考の結果であるととらえてみると、大事なことは、「思考変容」だと言えます。気づきとはまさに、思考変容であり、それが行動変容と一連のものとらえることが大切になります。
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