「それ知ってますよ!」 「え?それって何ですか!?」
両者の反応の違いは、スタッフへのメッセージの「刺さり具合」の違いを表しています。
例えば、以前から「理念」という言葉がありますが、最近では「パーパス(存在意義)」という言葉が流行っています。「両者には◯◯という違いがあります」と説明することもできるでしょうが、本質は同じで、どちらも【目的】を意味していると言えます。ですが、仮に「理念が大事」と伝えると、「それ知ってますよ!」と以前からあった言葉だからこそ、興味や関心を持ってもらいにくいかもしれません。逆に、「パーパスが大事!」と伝えると新しい言葉だからこそ、興味や関心を持ってもらいやすいかもしれません。つまり後者は、あえて新しい言葉を用いることによって、意図的にスタッフの知的好奇心を高めていくということを意味しています。
もちろん、両者の共通点である【目的】という本来の意味合いを押さえておくことは大切です。ですが、その本来の意味合いを理念という言葉よりもパーパスという言葉を伝えることによってスタッフにより刺さりやすくなるなら、あえて流行り言葉を用いるのもコミュニケーション戦略です。
そして、この例が意味するのは、本質を押さえたメッセージの概念を変えること、リブランディングすることの戦略性です。
言わば、「手を変え品を変え」、試行錯誤し、スタッフにより刺さる新しいメッセージを模索する。リーダーシップとは言葉と行動を通じて人と組織を動かす営みと言えるからこそ、メッセージにこだわることが大切になります。
なお、もちろん、流行り言葉を使わずに本質を押さえたメッセージを用いるのもまた、コミュニケーション戦略です。
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