• 佐藤 和弘

推進派スタッフの「1/1の失敗体験」の重大性を理解する

「『配置』のマネジメントで8割が決まります」


「配置」「評価」「報酬」「育成」の4つのマネジメントのなかで、あえてこのように表現するほど「配置」のマネジメントは重要である。なぜならば、「配置」を一つ間違えるだけで、ともすれば推進派スタッフが辞めてしまいかねないからだ。


たとえ「評価」が不公平だと感じても期待しなければいいし、「報酬」が不十分だとしても患者さんからの「ありがとう」によってやりがいを感じるし、「育成」が不足していても自己研鑽すればいい。しかし、部署や職位などの「配置」が不一致であれば、1日8時間週5日間、その場所に居続ける中で、苦痛や抵抗感を感じ続けることになってしまう。


合理的には、「配置」を間違えれば元に戻せば良い。だが、一度去った部署に出戻りしたり、一度管理者になった後に役職を下されたりすることは、情理的にやはり苦痛や抵抗感を感じることとなる。


マネジメント側にとっては、何十例中の一例に過ぎないかもしれない。だが重要なのは、本人にとってみれば、それは一例中の一例なのである。


この「1/1の失敗体験」によって、その施設(組織)に幻滅し、本当に頑張っているスタッフが報われる現場を他の施設(組織)に求め、「退職」の道を推進派スタッフは選ぶ。あくまでも、(国家)資格を職人としての拠り所とする医療者にとってみれば、その資格をもって自分の能力を生かせる場所が他の施設(組織)にあれば、今の施設(組織)に見切りをつけることへの情理的な抵抗は少ないだろう。


現在は、施設(組織)が選ばれる時代である。だからこそ、「配置」のマネジメントにおいて、推進派スタッフの「1/1の失敗体験」の重大性を理解することが、ますます大切になってくる。

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