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  • Writer's picture佐藤 和弘

新たな話題を追いかけるよりも、既存の生成AIの使い倒し方を考える

毎日のように生成AIに関する新たな話題が出てきますが、医療現場への導入という観点では、そのような新たな話題を追いかけるよりも、既存の生成AIをどのように活用していくか、現場の半径5メートルの中での具体的な実践方法について議論していくほうが良いと考えています。言い換えると、「既存の生成AIの使い倒し方を考える」ことを優先するということです。


なぜならば、実際に使ってみるとわかるように、既存の生成AIでも使い方次第で、すでに私たち人間が考えるためのさまざまな選択肢を提供してくれるからです。


このように、実務の立ち位置から生成AIの「開発・学習段階」ではなく「生成・利用段階」に目を向けた際、


「どのような答えが生成されるかはプロンプト次第」

「答えは問いの鏡」

「答えがイマイチなのは問いがイマイチだから」


このようにとらえることも大事ですが、同じく、あるそもそも論も大事になります。そのそもそも論とは、


「一度の会話で完結させることを暗黙の前提としていないか?」


ということです。


人間同士のコミュニケーションでは、当然ながら、一度の会話で期待した答えが返ってくるとは限らない。だから、期待した答えが返ってくるまで、会話を繰り返していくはずです。それが、生成AIとの会話となると、なぜか「一度で期待した答えが返ってこなければならない」といったことを暗黙の前提にしてしまっていないでしょうか。その結果、あるプロンプトを入力して期待した答えが返ってこないと、生成AIに対してすぐにネガティブなイメージを持ってしまう。


このように考えると、医療現場で活用する際は、一度の会話の完成度を求めるのではなく、ラフな会話でもいいから会話を繰り返すということを前提にしておくほうが良いのではないかと思います。


さらに、もう一つのそもそも論は


「正しい答えを得るために生成AIを使うということを暗黙の前提にしていないか?」


ということです。(言語)生成AIがやっているのは、あくまでも「次の単語を予測している」ということであって、「予測する」ということと「正しい答えを見つける」ということは、切り離して考えることが大切です。


では、何のために生成AIを使うのか。それは、「考えるための選択肢を増やすために生成AIを使う」ということです。


自分(人間)が考えられる物事には限界がある。だから、生成AIを使って考えるための選択肢を増やす。選択肢は力。それらの選択肢を基に、自分(人間)だけでは見出せなかった問題解決の新たな道を切り開いていく。


このように、生成AIを使う目的を


「正しい答えを得る」

から

「考えるための選択肢を増やす」


に置き換えてみると、景色が大きく変わって見えてくるはずです。

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