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Writer's picture佐藤 和弘

有事においてすら、危機意識を高めることは難しい

「有事においてすら、危機意識を高めることは難しい」

このことを理解したのは、死者2万人以上の「地獄の戦場」となったガナルカナルの戦いにおいて、1943年2月上旬に「転進」した後の1943年5月、銃後(国内)で大相撲夏場所を観戦している人々の平穏な暮らしの様子を映像で観たからだ。

このことは、前線で経験する「戦場」体験と、銃後で経験する「戦争」体験の違いを現している。同じ有事の状況にありながらも、実際に自分の半径5メートルで起こっている出来事なのか、それはあくまでも「どこか」で起こっていることであって「ここ」ではないと感じているのか。この2つの違いはあまりにも大きい。

有事のリーダーが理解しておかなければならないのは、実際の有事の出来事が自組織の半径5メートルに入り込んでくる前に、解決すべき問題を解決し備えておかなければ、手遅れになってしまいかねないということ。

日々1メートルずつ迫ってくる実際の有事の出来事を見据えながら、それが半径5メートルに入り込んでしまった時に、どのような【あるべきでない姿】になってしまうのか。そのような【あるべきでない姿】の複数のシナリオを前提に、「ではどのような【あるべき姿】を描かなければならないのか?」を考え、できる限り【現状】とのギャップを事前に埋めておく。

まだ組織全体に危機意識があろうがなかろうが、やるしかない。だから、たった1人有事のリーダーだけでも危機意識を持たなければならない。備えておいて実際の有事の出来事に遭遇しなかったら無駄になるのでは?それは無駄ではなく幸運と言う。遭遇しないに越したことはないに決まっている。

「選択肢は力」。その選択肢は、実際に有事の出来事が半径5メートルに入り込んでくる前にこそ得られる。それを有事のリーダーが気づけなければ、組織の人たちが気づくはずがない。

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