• 佐藤 和弘

有事のリーダーシップと「成功体験と習慣化」

平時の制度は有事には通用しない。だが、平時に制度化されたことには、そうすることが良いと判断した成功体験があったからであるから、制度を変えることに対して、組織の人たちからの不安や反発があることは、容易に想像がつく。


さらに、制度は「行動の仕組み化」であるので、制度によって長年の行動が習慣化されてしまうと、頭ではわかっていても、行動変容することが難しくなってしまう。


平時にはマネジメントが、有事にはリーダーシップがより求められるのは、前者は制度(仕組み)によって組織の人たちを動かし、後者はその制度が機能しなくなった時に、「成功体験と習慣化」から組織の人たちを引っ張り出し、誰にもわからない目的地(あるべき姿)へと導いていかなければならないからである。


これは、なぜ有事標準のリーダーシップが重要なのかを意味している。リーダーが有事標準のリーダーシップを発揮しなければ、組織の人たちは「成功体験と習慣化」から抜け出すことができず、実際の有事が半径5メートルに迫ってくる中で、有事の中の平時を過ごしてしまうことになる。 ****************** 冨山 戦争でもよくありますよね。海からの砲撃で成功すると、航空機の開発や導入をやめてしまう……とか。成功体験は、制度化を生む。体験や記憶だけじゃなく、社会の仕組みも過去の成功に合わせ制度化してしまう。そうすると社会や組織が「制度の虜」になってしまうわけです。

だから、機能しなくなった制度を変えるのは大変ですよね。制度の中に、人を動かす動機付けの仕組みが内在している。みんな期待を持ってしまうわけです。自分はクビにもならないし、年を重ねれば給料は増え続ける、と。こうした期待や現行制度の既得権にメスを入れないと仕組みは変えられません。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71530?page=6&fbclid=IwAR06kJV3KW4m_J7xT0BZpxtJ8k0aYwnVuSy8f6h4HniGKhALcL93U0fcKxI

Recent Posts

See All

メタバースという流行り言葉の背景には、「非現実世界(バーチャル)を現実世界(リアル)に近づけていきたい」という、人間の自然な欲求があるように思います。 あくまでも、僕らが日々生活しているのは、今この瞬間も目の前に見えている現実世界であり、いかにこの現実世界を心身ともに豊かに過ごすかは、誰しもが関心を持つことだと言えます。 その上で、テクノロジーの進化によって、従来の文字や音声の世界から、画像や動画

「問題を正しく解決するよりも、正しい問題を解決することが大事」 もちろん、「問題を正しく解決する」ことも「正しい問題を解決する」ことも、両方大事です。ただ、正しい問題において間違った対策を実行すれば「解決できなかった」だけで終わるかもしれませんが、間違った問題を正しく解決しようとしてしまうと、本当の問題が解決しないだけでなく、それによって別の問題が起こってしまうかもしれません。その意味では、上記の

昨今、「パーパス(経営)」といった言葉が流行っています。「存在意義」と訳されることもあるパーパスですが、これは本来は「目的」という意味になります。経営単位であれ個別業務単位であれ、ある活動は目的を実現するための手段ですから、「何のためにその活動を行うのか?」という目的を押さえることは、これまでも、そしてこれからも重要であり、本来は普遍的なことです。 では、なぜ、このような整理をしたのかというと、と