• 佐藤 和弘

有事標準のリーダーに求められる「情理に基づいた非情な意思決定」

現場スタッフに共感し過ぎると、合理的な意思決定ができなくなるというのは、特に現場叩き上げのリーダーのジレンマと言えます。


現場の半径5メートルの合理性を仲間とともに守ってきた本人が、組織全体としては合理的だが半径5メートルの中にいるスタッフには非合理的だと感じてしまうようなトップダウンの意思決定をしようとする。その際、「昔(私たちと同じように)言ってたことと、今やろうとしていることは矛盾しているじゃないですか!?」といった他のスタッフからの指摘や、もっと言えば過去の自分の意見と真逆のことをやらなければならないという自己否定を耐えることができるか。これは、極めて難しい問題です。


現場を知ることはもちろん大事。ですが、現場を知りすぎると、合理的な意思決定を阻害するほどの情が生まれやすくなります。これは、スタッフ想いで優しいリーダーほど、陥りやすいジレンマと言えます。したがって、現場スタッフの半径5メートルの情理の世界を理解しながらも、そこに闇雲に足を踏み入れ過ぎないことが大切です。


組織全体(そして中長期的にみればスタッフ1人ひとり)のためになることであるのならば、過去の自己の否定を恐れず、長年の伏線を回収する長編映画のクライマックスを迎えるまで、たとえその時には非情にみえてしまうようなことであっても、合理的に意思決定していく。有事標準のリーダーには、そのような「情理に基づいた非情な意思決定」が求められます。

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