前半は、スタッフの方々がファシリテーターとなり、ある重要な事例に関する問題解決を議論。研修(Off-JT)の設計は、事前の準備(仕込み)で勝負は決まってしまう。その観点において、長い準備期間を経て分単位の設計を行うだけでなく、「生もの」の学習の場で、即興で臨機応変にプランBを発動させ、気づきのポイントに学びを着地させていた。素晴らしい。
加えてこちらは、一旦患者さん側視点の「ありたい姿」と医療機関側視点の「やるべき姿」に分けて考え、その後で両者をすり合わせて【あるべき姿】を描くことによって、ともすると医療機関側視点のみで問題解決を考えてしまうといった「手段の目的化」の罠にはまりにくくしている。
後半はヨソ者にバトンタッチ。最初にヨソ者の立ち位置を明確にするために、次のことを共有した。
「ヨソ者として嬉しかったことがあります。僕は一貫して『魚を与える』のではなく『魚の釣り方を教えて』います。だから、答えを教えないのでモヤモヤすると思います。でもそれは、そもそも唯一絶対の答えはないし、僕がいる時だけしか答えを得られないのであれば意味がないからです。そうではなくて、今回のように、自分たちで魚を釣る(最善の答えを導き出す)ことができる。これが学習する組織です」
そのうえで、この自己完結型組織学習の様子を側から見ていたヨソ者として、前半の事例検討における【あるべき姿】の設定において、最も重要な論点を整理。この論点においてスタッフ間でどちらを選択するかによって、同じ【現状】でも【あるべき姿】が変わり、【問題】【原因】【対策】も変わってしまう。このように、問題解決においては、論点の「感度」を高めていくことが大切になる。
ヨソ者セッションのメインは、「木を見る前に森を見る」セッション。問題解決の六大大陸はルールであり、ルール自体を批判しても不毛であること(もっといえば、ルールというより自然の摂理)。それは当然ながら、テクニカルな事例の問題解決にも使えることを、ある例を参考にデモンストレーションしたうえで、他の産業や医療に使われている様々な手法も、結局は六大大陸(をプランとしたPDCA)のどこかの話をしていること。だからこそ、「問題解決をするかしないか」ではなく「どのように問題解決していくか」を議論すべきであることを説明した。
この後は、これから個別の問題解決から人材マネジメントの仕組み化における問題解決という次のステージに進むための道標。
例えば、どの業務方式を取り入れるべきかを議論するのは、【配置】のマネジメントの問題解決にあたる。仮にそのような際、ともするといきなり世間で話題の◯◯を取り入れるといった【対策】を考えてしまうが、これは典型的な罠。なぜなら、その業務方式が有効なのは、あくまでも【現状】や【あるべき姿】次第だからだ。だから、まずはこれらを議論したうえで、そのギャップを埋めるために他のどの業務方式よりもそれを優先すべきであるという結論に至らなければ、「取り入れた」→「うまくいかない」→「◯◯方式は有効ではない」といった安易な議論になりがちである。
だからこそ、このような人材マネジメントの仕組み化に関しても、問題解決の六大大陸を使って議論する必要があるのである。
最後に、変革リーダーがある重要な物事について共有。
「3年経って、佐藤先生の言っていることがやっとわかりました!」
素晴らしい気づき。このように、学びとは年単位の伏線回収の世界。長年の経験を通じて、本当の「わかる」に至る。この営みがいかに重要であるかを、ノンテクを継続している組織の変革リーダーは気づくことになる。
鹿児島中央駅は、煌びやかなクリスマス仕様。
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