• 佐藤 和弘

物事の理解は、現実世界に始まり現実世界に終わる

メタバースという流行り言葉の背景には、「非現実世界(バーチャル)を現実世界(リアル)に近づけていきたい」という、人間の自然な欲求があるように思います。


あくまでも、僕らが日々生活しているのは、今この瞬間も目の前に見えている現実世界であり、いかにこの現実世界を心身ともに豊かに過ごすかは、誰しもが関心を持つことだと言えます。


その上で、テクノロジーの進化によって、従来の文字や音声の世界から、画像や動画、VRやAR、そしてメタバースへ進んでいる流れは、現実世界での生活をより豊かにするために、現実世界だけでなく非現実世界にも手を伸ばしながら、一方でその非現実世界もより現実世界に近づけていきたいという意志の表れのように見えます。


ここで大事なことは、僕らが現実世界にいる以上、「物事の理解は、現実世界に始まり現実世界に終わる」ととらえておくことです。


それは、メタバースのような「非現実世界の現実世界化」といった、テクノロジーを背景にした出来事に限らずとも、これまでの現実世界の問題解決でも同様です。

例えば、あるべき姿と現状のギャップを埋める計画(問題解決プラン)をシート(紙)を使って文字で表現する。これも、現実世界の中で、ある目的を押さえた上で、組織全体でたどり着いたい場所が見つかり(あるべき姿)、現状とのギャップを把握し(問題)、その原因を洗い出し、それをもとに解決するための行動(対策)を決める、あくまでもそのために、現実世界の出来事を文字で表現しています。その方が、現実世界の出来事がわかりやすくなるからです。


しかし、そもそも現実世界をより豊かにするために問題解決したいのですから、一度文字という形(記号)表現された内容は、いずれ現実世界の形に戻さなければならない、つまり実際に行動することによって、現実世界を変えなければならないということです。これも、「物事の理解は、現実世界に始まり現実世界に終わる」のです。


であれば、やはり重要になるのは、「目の前の現実世界」と「今自分が見ている景色」のギャップをできる限り埋めていくこと。そして、そのためには、「今自分が見ている景色と他者が見ている景色の共通点と相違点」に関心を向けていくことだと言えます。このことからも、これも流行り言葉になっている多様性(ダイバシティ)が大事になりますね。

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