病院安全教育12・1月号Web連載「医療安全管理者のためのノンテク導入塾」20日目のテーマは「組織変革と空気のマネジメント」。
空気のマネジメントにおいて重要なことは、「半径5メートルの合理性」を把握することです。現場の半径5メートルの外にいる人から見ると一見非合理的に見える行動であっても、その中にいる人にとってみれば合理的である。このような「本人にとっての合理的な理由」を把握せず、ただ目の前で起こっている表面的な現象だけに注目してしまうと、誤った判断をしてしまいかねません。
そして、この「半径5メートルの合理性」を把握するうえで役立つ決め台詞が、「(◯◯さんにとって)どう都合が良いんだろう?」という言葉(問い)です。
例えば、Aさん(スタッフ)が他者からみると一見非合理的に見える行動をとった際、単に「なんでそんな行動をとるんだろう?」と否定的に考えるよりも、「その行動をとることが、Aさんにとってどう都合が良いんだろう?」と肯定的に考えてみる。
すると、「実はAさん自身は本当はそのような行動はとりたくないのだけれど、Bさん(抵抗派にあたるスタッフ)からにらまれることを恐れて、その行動をとらざるを得なかった」、つまり「Bさんからにらまれないようにするために都合が良い」といったことが把握できるかもしれません。
「たしかに、私がAさんの立場だったら、同じような行動をとるかもしれない・・・」
このような「本人にとっての合理的な理由に対する共感」をもとに行うことが、空気のマネジメントの重要かつ難しいところであると言えます。
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