病院安全教育2・3月号Web連載「ストーリーで学ぶ 医療安全管理者のためのノンテク導入塾」21日目の授業のテーマは「小さな成功のつくり方」。
組織変革を行うための「空気のマネジメント」は、多数派である慎重派にあたるスタッフに推進派にあたるスタッフの「真似」をしてもらい、ラーメン屋の行列をつくるために、推進派を中心に「小さな成功」を実感してもらう(美味しいラーメンを食べてもらう)ことがとても重要になります。
そのうえで、この「小さな成功」という言葉は、「成功」だけでなく、「小さな」という言葉に注目することも大切です。
ともすると、組織変革(問題解決)というと、暗黙的に「大きな取り組み」ととらえてしまいがちではないでしょうか。ただ、組織変革において大事なことは、基本的に「階段は一段ずつ登る」ことだと言えます。
たしかに、組織全体のあるべき姿であるビジョンは、ある程度「遠く大きな絵」でなければ、その目的地が魅力的に見えず、そこに行きたいと思いにくいかもしれません。ただ、その描かれた遠く大きな絵の場所に行くのにも、やはり目の前の階段を登っていかなければならないのであれば、十段二十段を一気に駆け上がるよりも、一段ずつ登り続けるほうが、実際に自分たちの足で登る人たちにとってみれば現実的に思えるでしょう。だからこそ、
「階段が一段だったら、なんとか登れるかもしれない」 ↓ 「実際に頑張って一段登ってみたら、ちょっとだけだけれども嬉しいことがあった」
といった小さくとも成功体験が、次の一段の階段を登るための原動力になるはずです。
さらに言えば、大事なことは、この小さな成功の「芽(事実(結果))」を見逃さないことです。ともすれば、推進派(や慎重派)にあたるスタッフからすると、自分(たち)の行動は一見「当たり前のこと」だと感じ、その結果、本人(たち)に「成功」だと認識されずに、その出来事が過ぎ去ってしまうかもしれません。せっかく小さな成功の芽が出ているのに、それに気づかずにいるのは、とてももったいないことです。
したがって変革リーダーは、事実(結果)をポジティブに意味づける力が重要であるとともに、小さな成功の芽を見逃さない(気づく)力もまた、重要になってくると言えます。だからこそ、
「スタッフ本人が当たり前に思っている行動にこそ、ポジティブな意味づけを」
このような向き合い方も大切なのかもしれません。
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