「論理は内向きに働く」
以前より意図的に使っている言葉です。同じく意図的に使っている「半径5メートル」という言葉とともに、「人は、自施設より自部署、自部署より自分自身に関心が向かいやすい」というのは自然なことで、その意味では、このこと自体に善い悪いはないと言えます。
それを、「あの人は自己中心的だよね!」「自分のことしか考えてないよね!」とただ批判したところで、お互いが嫌な気持ちになって関係性が悪くなり、それによってさらに相手を批判的にとらえるという悪循環に陥るだけかもしれません。つまり、
「人って本来、(程度の違いはあれ)そういうものだよね」
ととらえておくほうが、人との関係性のマネジメントにおいては良いのでしょう。
ただ、これはだから何もしなくても良いということではありません。「受け入れる(意識する)」ことと「変える(行動する)」ことの違いです。もし、論理が内向きに働き、組織のあるべき姿(ビジョン)と現状のギャップを埋められず、その結果不幸になる誰かがいるのであれば、やはり、それ以上の「外向きの力」を加えなければなりません。それが、空気のマネジメント(ラーメン屋の行列づくり)の重要な前提となります。
論理は内向きに働くからこそ、空気のマネジメントは「半径5メートルに始まり、半径5メートルに終わる」ことはもちろん大事です。推進派が中心になって作った小さな成功は、より半径5メートルに近いものが良い。けれど、それを推進派の「自分の成功体験」に留めるのではなく、それを「組織全体の成功体験」に意図的に広げていく(それは慎重派だけでなく抵抗派にとっても)演出力がとても重要になってきます。
「私にとっての小さな成功から、私たちにとっての小さな成功へ」
もしそれが現時点で十分でなかったとしたら、それは「論理が内向きに働いたせい」と落ち込むのではなく、「論理を外向きに働かせるのが足りなかったせい」ととらえる。そのほうが、あるべき姿に近づく次の一歩を踏み出しやすいのではないでしょうか。
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