もう3週間近く前になりますが、福井県で開催された「第61回日本体外循環技術医学会北陸地方会大会」の特別講演で登壇しました。
講演タイトルは『医療現場におけるノンテクニカルスキル』〜組織で問題解決する技術と自組織への導入の考え方〜。
自組織への導入の第一歩は組織学習を行うことであり、個人学習は、その本当の意味でのスタートラインを踏み出すための準備段階に過ぎません。そして、組織学習は個人学習の延長線上にはない、別の世界の話であるととらえなければ、ともすれば、組織学習を行っているつもりで、実はスタッフが集まり各々が個人学習を行う「集団個人学習」になってしまいかねません。
このことを理解するためには、やはり「そもそも論」が重要で、個人学習と組織学習とでは、そもそもの目的は全く同じではありません。前者の目的が「能力を高める」ことにあり、組織学習の目的も全く同じなのであれば、わざわざ組織学習を行うのではなく、各々が個人学習すればよいことになります。にも関わらず、あくまでも組織学習と言うのであれば、組織学習特有の目的が別にもある。それが、「共通言語づくり」です。
組織全体であるべき姿に向かうためには、「行動」をそろえる。そして、行動をそろえるためには、「制度」の前に「言葉」をそろえることが大切です。
講演の後のセッションは、「ノンテクニカルスキルを使いこなせ!」と銘打ったラウンドテーブルディスカッション。僕はコメンテーターとして参加しながらも、演者や会場の皆さんの邪魔をしないように心がけました。
ディスカッションの最後には、「問題解決には、その瞬間に行う問題解決と、(今後)同じような問題が起こらないようにする問題解決の2種類あること、前者の問題解決は【原因】がブラックボックス化しやすいことなどについてお伝えした後、テクニカルスキルとノンテクニカルスキルの関係性に触れながら、皆さんのディスカッションを拝聴した感想として、次のようなことをお伝えしました。
「テクニカルスキルとノンテクニカルスキルは分けてとらえることでわかりやすくなりますが、実際(の現場)は『こういったノンテクニカルスキルが・・・」といったように分かれているのではなく、テクニカルスキルとノンテクニカルスキルは混ざり合っていますよね。まさに、皆さんの議論では、(テクニカルスキルと混ざり合うように)自然にノンテクニカルスキルが使われていました」
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