
ノンテクニカルスキルとは
リニューアル
組織で問題解決する技術
現在、医療において、テクニカルスキル(専門技術)だけでなく、ノンテクニカルスキル(非専門技術)も注目されています。
「ノンテクニカルスキルとは」の一連のページでは、「テクニカルスキルとノンテクニカルスキルの関係」や「問題解決とは」「共通言語の大切さ」、私が最も重要だと考えている「2W1H/問題解決の六大大陸(世界地図)」などの個別スキルについてご紹介します。
テクニカルスキルとノンテクニカルスキルの関係
医療者に必要なスキルは大きく2種類に分けることができます。一つはテクニカルスキル(専門技術)であり、主に職種別・分野別にさまざまな個別スキルがあります。一方で、日常の現場業務をイメージするとわかるように、実際はテクニカルスキル以外のスキルも必要になります。それが、ノンテクニカルスキル(非専門技術)であり、テクニカルスキル以外のあらゆる(個別)スキルの総称であると言えます。
医療において、テクニカルスキルはもちろん重要です。ただ、いくら自分自身が優れたテクニカルスキルを持っていたとしても、それを患者さんに実際に提供するためには、他スタッフを巻き込みながら、現場のあらゆる問題を組織で解決していかなければなりません。そしてそのためには、物事を「考える力」や他者に「伝える力」、さまざまな性格や価値観、考え方、立場、役割の異なる者同士で議論し「決める力」、そして人や組織を「動かす力」が必要不可欠です。
このことは、両者は自転車の両輪のような関係にあり、どちらが欠けても医療の質は高まらないということを意味します。

問題解決とは何か
一方で、医療安全はもちろん、リスクマネジメントや感染対策、業務改善、そして看護計画から治療計画に至るまで、あらゆる医療現場の業務は、その場その場の問題を解決をしています。なぜなら、問題解決とは「あるべき姿と現状のギャップを埋める」ことを意味するからです。
例えば、ある治療の準備を行うという業務も、問題を解決しています。【あるべき姿】は「すぐに治療が始められる状態」になっていることであるのに対して、【現状】は「それができていない状態」であるために、「治療の準備」という業務によって、それらのギャップを埋めているわけです。言い換えれば、問題解決とは、【現状】という出発地から【あるべき姿】という目的地へと向かう旅。
このように考えると、問題解決という言葉を汎用的かつ根本的な概念としてとらえることができるようになります。

共通言語の大切さ
「自分は問題だと思っているのに、他のスタッフはそれを問題と思っていない」
なぜ、このような問題意識の違いが生まれるのでしょうか。それは、そもそも「問題という言葉のとらえ方」が違うからかもしれません。だからこそ大切なのが、「組織全体で共通言語をつくる」ことです。問題解決という言葉においても、スタッフ全員が「あるべき姿と現状のギャップを埋めることです!」と当たり前のように説明できるかどうか。つまり、組織全体で行動するためには、まず「言葉をそろえる」ことが求められるのです。
ちなみに、私が「個人学習の限界」と呼んでいることも、このことにつながります。自分だけが知っている、自分だけができるという状態では、「◯◯さんだけ違うやり方で業務をしてるんですけど・・・」といったように、他のスタッフから批判されてしまうかもしれません。このことからもわかるように、皆が知っている、皆ができる状態を目指していかなければ、基本的に組織単位で行われる業務でスキルを発揮していくことは限定的になってしまいかねません。


