ラーメン屋の行列をつくる
人は、自分で行動を決めているように見えて、人の行動にもとづいて自分の行動を決めています。この社会的証明を利用してスタッフを動かしていくのが「ラーメン屋の行列づくり」です。
ハロウィンに学ぶラーメン屋の行列づくり
これらの準備段階を経て、ようやく組織の空気を変えるための実施段階に進むことができます。では、2W1Hを中心とした問題解決する技術(ノンテクニカルスキル)を組織で共通言語にしながら、どのようにして空気を変えていけばいいのでしょうか。実は、先ほど示した部署対抗戦の実行計画には、その仕組みが組み込まれています。
注目すべきなのは、この「部署ごとに競わせる」という部分です。ここでは、単に問題解決シートの枚数を競わせて3ヶ月後に結果発表するのではなく、週単位、できれば毎日、各部署の進捗状況を示しておくことがとても重要になります。この経過報告の一覧は、棒グラフなどで誰でもすぐ理解できるようにわかりやすく表し、できる限り多くのスタッフが日常業務のなかで目にする位置に掲示しておくのがポイントです。そうすると、最初は推進派の部署が問題解決シートを量産していきますが、途中から、それを見た慎重派の部署が焦り始めます。「ウチもそろそろシートをつくっていかないとヤバいんじゃない!?」。そして、推進派の部署よりも少し遅れてシートを出し始めていきます。
これが、空気を変えるためにやるべきたった1つのこと、「ラーメン屋の行列づくり」です。ラーメン屋に行列ができていると、食べたこともないのに「あそこのラーメン美味しそうだな・・・」と感じて、ついつい並んでしまう。皆さんもこのような経験を一度はしてきているはずです。これが意味することは、人は自分で行動を決めているようにみえて、実は他者の行動によって自分の行動を決めているのです。
「ラーメン屋の行列づくり」によって社会的な空気が変わった最近の例に「ハロウィン」があります。ハロウィンは、これまでともすれば変人扱いされてきた「仮装」という行為を、そのシーズンにおいてはアイドル扱いに社会的に変えてしまいました。むしろハロウィンシーズンにおいては、所によっては仮装しないほうが変人扱いされるという「逆転現象」まで起こっています。
ではなぜ、仮装という行為は同じでありながら、それが変人扱いされるのではなく、アイドル扱いされるのでしょうか。それは、ハロウィンシーズンにおいては、仮装が「称賛される空気」があるからです。それが、「仮装なんかしたら変人扱いされる!」→「もしかしたら仮装しても大丈夫かも・・・」「仮装しても大丈夫だった!」→「むしろ仮装したほうが称賛される!」という流れができ始め、先に仮装している人に続いて仮装し始める人が出てくるという「ラーメン屋の行列づくり」ができ、それによって社会的空気が変わったのです。このことからもわかるように、社会的な空気を変えるときも、組織の空気を変えるときも、いかに「ラーメン屋の行列をつくる」かに尽きるのです。
組織を2:6:2の分けた理由
ここで、なぜ組織を2:6:2に分けたか、その理由が明らかになります。おわかりのように、推進派がポジティブな空気に変える。逆に、抵抗派がネガティブな空気に変える。そして肝心なことは、慎重派が推進派のほうにラーメン屋の行列をつくればポジティブな空気がつくられ、逆に抵抗派のほうにラーメン屋の行列をつくってしまうとネガティブな空気がつくられるということです。つまり、組織が現状満足の(ネガティブな)空気に支配されているということは、後者のラーメン屋の行列ができてしまっているということに他なりません。