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2W1Hが大切な理由

2W1Hを使って議論しなければどうなるのか?「問題解決のイタチごっこ現象」「原因はアイデア集めと納得感づくり」といったキーワードを通じて理解していきます。

「どうしましょう?」は「対策の話をしましょう!」と言っていることと同じ
問題解決のイタチごっこ現象

問題解決のイタチごっこ現象とは

2W1Hをもとに普段の現場での問題解決を振り返ってみると、漠然とした問題に対して、いきなり「どうしましょう?」といった問いかけをしてしまっていませんか?言葉というのは「考えるための道具」です。「どうしましょう?」という言葉は、「対策の話をしましょう!」と言っていることと同じですから、この言葉を使ってしまった瞬間に、他のスタッフの頭の中が「対策のことを考えるんだな」という意識になってしまいます。その結果起こるのが、対策を立てたはずなのに同じ問題が起こり続けるという、問題解決の「イタチごっこ現象」です。なぜ同じ問題が起こるのかというと、対策が正しくないから。そして、なぜ対策が正しくないのかというと、原因を考えていないからです。

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「なぜ?」「なんで?」という言葉は原因を考える言葉

「どうしましょう?」ではなく「なぜ?」

したがって、問題解決を議論するとき、問題を正しく捉えたあとに、いきなり「どうしましょう!」という言葉を使うのは禁止してください。その代わりに使う言葉は、「なぜ?」「なんで?」。この言葉を使うことで、議論している全員が「原因のことを考えるんだな」という意識に変わっていきます。なお、これは「Aが良いと思います」と言ったように、対策の意見が出てきたときにも有効です。「では、なぜAが良いと思ったんですか?」と聞くことによって、そのスタッフは原因の説明をせざるを得なくなるからです。

原因を考えるのは良い対策を考えるアイデアを集めるため
アイデアがあると対策が変わる

原因を考えるとは「アイデア集め」

では、原因を考えるとはどういうことか。ともすると、「RCA分析」とか「なぜなぜ分析」といったように、原因分析は難しく捉えてしまいがちですが、けっしてそんなことはありません。問題解決のイタチごっこ現象に陥らないためには、正しい対策を考えなければなりませんが、とはいえすぐには思い浮かばないはずです(そうでなければ苦労しません)。ですから、正しい対策を思い浮かぶためには、なにかきっかけとなるアイデアが必要です。それが、原因を考えるということ。つまり、原因を考えるのは「アイデアを集める」ためなのです。

 

このことを、透析医療を例に見ていきます。例えば、4時間透析治療を行う予定の80代の男性の患者さんをイメージしてみてください。患者さんにとって4時間というのは、ただひたすらに長く感じる時間です。1分1秒でも早く治療を終わらせて帰りたいと思う患者さんは少なくありません。しかし、この患者さん、ベッドに寝て待っているのに、いっこうにスタッフが穿刺をしにきません。ついに業を煮やした患者さんが、「まだ透析始まらんのか!?」とクレームを言ったとします。

さて、それを聞いた担当スタッフはどうするのかというと、「遅れている理由を説明する」という対策をいきなり考えて行動するはずです。ただ、それで本当にこの問題を解決することができるでしょうか?

もし、患者さんがクレームを言った原因がこうだったらどうでしょうか。実は、その日に2年ぶりにお孫さんと会えるので、何日も前から心待ちにしていました。そして、お孫さんはご家族と一緒に、患者さんが治療が終わる時間ぴったりに、施設の外で待ってくれている予定になっています。それなのに、治療が遅れてしまうと、お孫さんを炎天下の中で待たせて辛い思いをさせてしまう。さらに、この日会える時間はたった2時間しかありません。治療が遅れた分、会える時間が減ってしまいます。次に会えるのはいつになるかわかりません。これらの原因をアイデアとして把握することができたのであれば、スタッフが取るべき対策は全く変わるはずです。患者さんにとって、遅れている理由なんてどうでもいい。仮に遅れるのは仕方がないとして、だったらせめてお孫さんを待たせてしまわないように、ご家族に「こちらにお越しいただく時間を20分ほど遅らせていただいてよろしいでしょうか?」と電話連絡をすることが、スタッフの取るべき正しい対策ではないでしょうか。これが、アイデアを集める(原因を考える)ことの意義です。

原因を考えるのはスタッフ間の納得感をつくるため
担当スタッフが電話をかけに受け持ちから離れたが・・・
担当スタッフの行動の理由がわからないと、他のスタッフは納得できない

原因を考えるとは「納得感づくり」

そして実は、原因を考える目的はもう1つあります。これは、ある意味ではアイデアを集める(対策の質を高める)よりも重要なことといえます。それは、スタッフ感の「納得感をつくる」ことです。

 

先ほどの事例の続きを見てみましょう。患者さんとのやりとりのなかで「ご家族に電話を入れる」という対策が必要であると判断した担当スタッフは、受け持ちの患者さんの治療が始まりひと段落したので、他のスタッフに声をかけました。しかし、他のスタッフからすると、なぜその担当スタッフが受け持ちを離れて透析室から出ていったのかが変わりません。その結果、他のスタッフは次のようにその担当スタッフを非難するはずです。

 

このことからもわかるように、あるスタッフがある行動(対策)を取るとき、なぜ今その行動をとらなければならないのかがスタッフ間で共有されていないと納得できず、不毛な批判や対立が起こってしまいます。だからこそ、ある対策を取る前に、スタッフ間で原因を共有しておかなければならないのです。

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