ビッグワードを使わない

2W1Hというレシピ通りに調理をするだけでも美味しい料理がつくれますが、そこに「隠し味」があればさらに味わいが深まります。それは、「問題」「原因」「対策」のそれぞれの議論で、意見のなかに「ビッグワードを使わない」という、とてもシンプルな隠し味です。では、このビッグワードとはどういうものなのでしょうか?

​世界一シンプルな論理的思考

2W1Hというレシピを使うだけで、誰でも美味しい料理(問題解決)ができるようになります。一方で、単にレシピ通りに料理をつくるのではなく、そこに「隠し味」を加えることによって、料理は格段に美味しくなります。その隠し味とはなにか。それは「ビッグワードを使わない」、ただ、これだけです。

 

「論理的思考」「ロジカルシンキング」「クリティカルシンキング」といった、物事を論理的に考えるための技術は世の中に沢山あります。しかし、例えば「論理的思考の基本は演繹法と帰納法の2つがある。演繹法とは、A=B、B=C、ならばC=Aとなる・・・」といったことをいくら覚えても、臨床で使い物にならなければ意味がありません。学術の世界が「正しいかどうか」の世界であれば、臨床の世界は「役に立つかどうか」の世界だからです。一方で、この隠し味は「世界一シンプルな論理的思考」と言えます。

 

では、そもそも「ビッグワード」とはなにかを、医療において代表的な次のビッグワードを通じて考えていきたいと思います。

QOLってあなたにとってどういうこと?

それは「QOL」という言葉です。「QOLってなんですか?」と聞かれたら、当然「生活の質です」と答えます。では、「あなたにとって生活の質ってどういうことですか?」と聞かれたら、みなさんはどう答えますか?「幸せに暮らすこと」「美味しいものを食べること」「楽しい日々を過ごすこと」など、人によってQOL(生活の質)の捉え方は異なるはずです。一見当たり前のように感じますが、実はこれは怖いことだと思いませんか?なぜならば、ある患者さんのQOLを高めるための議論をしているときに、スタッフごとにQOLの捉え方が異なっていると、向かうべきゴールがバラバラになってしまうからです。それで本当に、その患者さんのQOLを高めることができるのでしょうか?

このように、たとえ読み方が同じであっても、それをどう捉えているのかが異なる言葉があります。そのような言葉のことを「ビッグワード(あいまいな言葉/抽象的な言葉)」と言います。では、世の中にどのようなビッグワードがあふれているかを、次の「ビッグワード警報・注意報」で確認してみてください。

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© 2013 by Kazuhiro Sato