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組織の2:6:2の法則

​空気をマネジメントすることによって組織を変革する。そのためにリーダー自身が迷子にならないための羅針盤が「組織の2:6:2の法則」です。

組織のスタッフを3種類のタイプ(派)に分けてとらえる

ここからは、問題設定型の問題解決を前提に考えてみてください。組織の2:6:2の法則とは、組織のスタッフを3種類のタイプ(派)に分けてとらえることを意味します。

推進派(2割)

組織をより良い方向へと変えていこうとしているスタッフ

慎重派(6割)

推進派と抵抗派のどちらを真似したほうが良いかを一歩引いた場所で判断しようとしているスタッフ

抵抗派(2割)

できれば「このままでいい」「変わりたくない」「新しいことをやりたくない」と考えているスタッフ

これは、「推進派のAさんに比べたら、Bさんは慎重派かなぁ」といったように、相対的に分けるようにしてみてください。組織によってさまざまな2:6:2の程度の違いはあるでしょう。また、「ウチには抵抗派と言えるスタッフはいないんですけど・・・」と思った場合も、「皆比較的に積極的だけど、その中でも消極的なのはCさんかなぁ」といったように考えてみてください。

​さらに、組織の2:6:2の法則に基づいて考える(それによって空気をマネジメントする)際に大事なことは、前のページで説明した「人は本来弱い生き物である」というとらえ方です。推進派は、人は本来弱い生き物だけれど、勇気を持って組織をより良い方向へ変えようとする人たち、対して、抵抗派は、人は本来弱い生き物だからこそ、「このままでいい」「変わりたくない」「新しいことをやりたくない」と現状を維持しようとする人たち。このように考えてみると、それぞれの立場が違って見えるのでないでしょうか。

人は本来弱い生き物であるというとらえ方をふまえて推進派・慎重派・抵抗派を見てみると、抵抗派が最も弱いと言えます。このように言うと、​「あの声の大きい◯◯さんが最も弱い!?」と違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません(もちろん、声が大きいスタッフだからといって抵抗派とは限りません)。ただ、ここで言う「弱い」とは、組織をより良い方向へと変えるための行動が取れないこと意味します。つまり、自分で行動を取れない弱さを持つからこそ、大きな声で主張したり、他者を批判したりすることによって、自分自身が変わらなくてよい状況をつくっている。このように考えると、抵抗派の情理(本人にとっての合理性)が見えてくるはずです。

組織の2:6:2の法則

ラーメン屋の行列をつくる

では、組織の2:6:2の法則を基に空気をマネジメントするとはどういうことなのでしょうか。それは、「ラーメン屋の行列をつくる」ことです。皆さんも、行列ができているラーメン屋さんなどを見かけた際、「こんなに行列ができているなら、きっと美味しいはず!だったら食べてみよう!」といったように、自分も行列に並んだといった経験はないでしょうか。このことが意味するのは、「人は他者の行動を見て自分の行動を決めることがある」ということです。

 

組織の2:6:2の法則を基に空気をマネジメントするとは、この現象を生かしていきます。つまり、推進派が先頭に並んでいるラーメン屋の列の後に慎重派に並んでもらい行列をつくっていくのです。

 

慎重派に、積極的に組織をより良い方向へと変える取り組みを行っている推進派の真似をしてもらい、「すぐに取り組むのは躊躇するから他のスタッフの様子をしばらく見ようと思ったけど、Aさんだけじゃなく、Bさんも同じようなことを取り組み始めたみたい。だったら、私もやってみようかな・・・」といったように、同じように推進派の真似をする他のスタッフ(慎重派)を少しずつ増やしていく。そうして、スタッフの多数派が組織をより良い方向へと変えると、抵抗派も自分本位で反対しにくくなるのではないでしょうか。

ラーメン屋の行列をつくる
ポジティブな空気とネガティブな空気

​慎重派が自分の身を守る手段「沈黙という同調」

組織が現状維持・現状満足の空気に支配されているということは、慎重派が、抵抗派が先頭に並んでいるラーメン屋の列の後に並んでしまい行列ができていることを意味します。なぜ慎重派が抵抗派の真似をせざるを得ないのかというと、基本的にはやはり抵抗派に目をつけられたくないからでしょうが、その際に慎重派が自分の身を守る手段として持っているのが「沈黙という同調」です。

 

最初のページで登場したBさんを思い出してみてください。​Bさんの立場からすると、もしあの場面でAさんの発言に対して賛成意見を述べてしまうと、Cさんに目をつけられてしまい、その後の業務がやりにくくなるかもしません。かといって、Cさんの発言に対して賛成意見の述べてしまうと、自部署の業務を良くすることに反対したことになってしまいます。であればBさんが取りたい手段は、「どちらの発言に対しても『何も言わない(沈黙する)』ことによって、同調する態度を示す」こと。何も言わず同調するということは賛同を示したわけでも反対を示したわけでもありませんから、仮に新しい手技を取り入れてうまくいかなかった場合も、逆に新しい手技を取り入れなくてうまくかなかった場合も、「私は賛成も反対もしませんでした」と言い逃れすることができます。これは、このままでいいとは思っていないが、積極的に何かを変えたいとも思っていない慎重派にとってみれば合理的と言えるのです。

小さな成功をつくる

© 2013 by Kazuhiro Sato

 

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