• 佐藤 和弘

正しい問題のとらえ方

「問題を正しく解決するよりも、正しい問題を解決することが大事」


もちろん、「問題を正しく解決する」ことも「正しい問題を解決する」ことも、両方大事です。ただ、正しい問題において間違った対策を実行すれば「解決できなかった」だけで終わるかもしれませんが、間違った問題を正しく解決しようとしてしまうと、本当の問題が解決しないだけでなく、それによって別の問題が起こってしまうかもしれません。その意味では、上記のとらえ方をしておくことが大切になります。


ただ、実際に問題解決を考えてみると、正しい問題をどのようにとらえていけば良いのか、その難しさに気づくことが多いのではないでしょうか。その中には、「問題と原因の違いがわからない」と混乱するといったこともあるかもしれません。


例えば、家で過ごしていて「ハサミがない!」ということに気づいたとします。では、次の2W1Hのとらえ方は正しいでしょうか?


【問題】ハサミがない なぜ↓ 【原因】買い忘れていた だから↓ 【対策】ハサミを買いに行く


ここで、正しい問題をとらえていくうえで大事な考え方をお伝えします。それは、「それによって何が起こった(起こっている)のか?」を考えることです。


「ハサミがない!」という状況において「それによって何が起こったのか?」を考えてみると、例えば「箱の紐が切れない」、もっと言えば、それによって「箱の中身が取り出せない」ことが問題だということがわかるはずです。


すると、2W1Hはこうなります。


【問題】箱の中身が取り出せない なぜ↓↑それによって 【原因】箱の紐が切れない なぜ↓↑それによって ハサミがない なぜ↓↑それによって 買い忘れていた だから↓↑なぜ 【対策】ハサミを買いに行く


どちらの2W1Hも同じ対策です。ですが、前者では、「ハサミがない」という問題解決はできますが、それだけでは「ハサミを買って満足」になってしまうかもしれません。大事なことは、後者のように「箱の中身が取り出せない」という問題を解決すること。なぜならば、あるべき姿は、例えば「お取り寄せした食べ物(商品)を食べている」姿かもしれないからです。


もちろん、ここで示したものはあくまで単純化した1つの例であり、医療現場の問題解決において、正しい問題をとらえていくことは簡単ではないでしょう。ただ、そのうえで大事なことは、「登場人物の顔が見えるレベルまで具体的にイメージする」「その登場人物が主役の物語を具体的にイメージする」ことを前提に、「その物語の中で、その登場人物が本当に困っていることは何か」を具体的に考えていくことです。


そうすると、一見すると「ハサミがない」ことで困っているようで、本当は「箱の中身が取り出せない」ことで困っている◯◯さんの様子が見えてくるかもしれません。

Recent Posts

See All

メタバースという流行り言葉の背景には、「非現実世界(バーチャル)を現実世界(リアル)に近づけていきたい」という、人間の自然な欲求があるように思います。 あくまでも、僕らが日々生活しているのは、今この瞬間も目の前に見えている現実世界であり、いかにこの現実世界を心身ともに豊かに過ごすかは、誰しもが関心を持つことだと言えます。 その上で、テクノロジーの進化によって、従来の文字や音声の世界から、画像や動画

昨今、「パーパス(経営)」といった言葉が流行っています。「存在意義」と訳されることもあるパーパスですが、これは本来は「目的」という意味になります。経営単位であれ個別業務単位であれ、ある活動は目的を実現するための手段ですから、「何のためにその活動を行うのか?」という目的を押さえることは、これまでも、そしてこれからも重要であり、本来は普遍的なことです。 では、なぜ、このような整理をしたのかというと、と

基本的には、研修満足度を高めることは大切です。研修で学んだこと自体の満足度が高くなければ、それを現場で使ってみようという意欲につながりにくいでしょう。 一方で、研修満足度よりも重要だと言えるのが、現場満足度です。「研修で学んだことを実際に現場で使ってみた結果、患者さんや自分(たち)に良いことがあった」といった現場満足度が高まらなければ、「研修は面白かった」だけになってしまうかもしれません。つまり、