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  • Writer's picture佐藤 和弘

組織変革と逆ドミノ倒し現象

リーダーが自組織のスタッフにある行動を取ってほしいと伝えます。しかし、スタッフAさんはその行動を取ろうとしません。なぜならば、スタッフBさんが同様の行動を取っていないからです。一方で、スタッフBさんがその行動を取ろうとしないのは、スタッフCさんが同様の行動を取っていないからで、そしてスタッフCさんがその行動を取らないのは、スタッフAさんが同様の行動を取っていないからです。


誰かが前例をつくってくれたら自分もその行動を取ろうと思えるけれど、皆が同じように思っているから、いつまでもその前例がつくられない。言い換えれば、後ろからドミノが倒れてくれたらその勢いに乗って自分も倒れようと皆が考えた結果、いっこうにドミノ倒しが起きず何も動かないままになってしまう。このような、言わば「逆ドミノ倒し現象」が起こっているために、なかなか組織が変わらないといった事態に陥ってしまいがちではないでしょうか。


だからこそ大事なことは、「いっせーのせ」、つまり、スタッフ全体で一斉に倒れることによって、全員で同時に前例をつくるということです。こうして全員で前例をつくることによって、その全員でつくった前例を拠り所にしながら、2歩目、3歩目を踏み出してもらうのです。もし、その前例が失敗のように思える結果になったとしても、それは「私の失敗体験」ではなく「私たちの失敗体験」となり、痛みを分け合う(分散させる)ことができますし、成功体験につながれば、一体感の空気がつくられやすくなるでしょう。


リーダーがスタッフ1人ひとりに向き合うことはもちろん大事で、10人いれば10通りの個性に個別に向き合うことになります。一方で、人は他者の行動を見て自分の行動を決めることがあるのであれば、「その人は誰を見ているのか?」にも注目していくことも大切になります。

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