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  • Writer's picture佐藤 和弘

組織変革におけるヨソ者の注意点編

何事も、手放しでメリットを得られる訳ではないものですが、それはヨソ者との二人三脚においても同様です。従って、メリットを最大限に得るために、注意点を押さえておくことが大切になります。


①ヨソ者はスタッフの半径5メートルには入りきれない

ヨソ者はその名の通りそのムラ(組織)で生活している訳ではないので、いくら住民との面談を繰り返したところで、それはあくまでも、伝聞としての生活(現場)の理解に過ぎません。


「こういう生活を過ごしている・・・と住民の方にお聞きしています」


同じく、たまに現場を見学したところで、それはあくまでも、家庭訪問としての生活の理解でしかありません。


「こういう生活を過ごしている・・・のを5分だけ拝見しました」


そのような立場においてやっかいなことが起こるとすれば、ヨソ者自身が伝聞や家庭訪問程度でそのムラの生活をわかった気になってしまうことで、伝聞や家庭訪問で理解した限られた情報を基に物事を一般化(抽象化)し、どのムラにも当てはまるように見えて、どのムラにも当てはまらないアドバイスをしてしまうことかもしれません。


一方で、だからといってずっと現場にいてもらうというのは、もはやヨソ者ではなく同じ住民になってしまいます。他の住民との関係性が出来すぎてしまい、そもそものヨソ者のメリット(そのムラの空気に従わずに言葉を伝えられる)が得られなくなってしまっては、本末転倒です。ヨソ者自身も、住民と仲良くなるのは人としては嬉しいでしょうが、「優しい良き身内」になってしまっては、


「あれだけ良い事を言っておきながら、いまさら◯◯さんが嫌な思いをすることを言えるはずがない・・・。かといって、いまさら距離を置くのも不自然だ」


といったように、距離感のジレンマを抱えることになりかねません。


これらをふまえると、ヨソ者自身にも「本当の答えは現場にしかないので、私には本当の答えはわかるはずがありません」といったことが言い切れるかが問われますが、自分のムラを豊かにするリーダーにも、ヨソ者が持つ「一見アレもコレも凄そう感」に抗い、ヨソ者の実像をとらえる目を養うことが求められます。もちろん、ヨソ者の実像がそう(本当の答えは持ってない)だからといって悲観も落胆も不要で、メリット編で挙げたさまざまなメリットを上手に使い倒せばいいだけです。その意味で、ヨソ者に対する適材適所の配置のマネジメントが大切になります。


②ヨソ者を使い倒しながら、ヨソ者に依存し過ぎない

ある専門性を持ったヨソ者が身近に居れば、困った時に頼ればよいので一見すると楽です。ただ、何事も上達には苦労がつきもので、楽をしているということは、その分、住民の成長機会を奪っているととらえることもできます。これは言わば、「成長機会のジレンマ」です。本来は、


ムラを発展させる

そのために↓↑何のため

住民の成長機会をつくる

そのために↓↑何のため

ヨソ者を活用する


はずなのに、


ヨソ者に依存し過ぎる

その結果↓

住民が楽をする

その結果↓

住民の成長機会を奪ってしまう

その結果↓

ムラの発展につながらない

その結果↓

ヨソ者に依存し過ぎる


といったように、ヨソ者に依存し過ぎてしまうことにより、住民の成長機会を奪ってしまい、結果として(持続的な)ムラの発展につながらず、さらにヨソ者に過度に依存するといったサイクル、



「いまさら、自分たちだけでどうすればよいかわからない」

だから↓↑それによって

「わからないから、ヨソ者に頼ろう」


といったサイクルに陥ってしまいかねません。


ヨソ者は、次第にそのムラから(完全にではなくとも)離れていきます。なぜならば、そうなることが、ヨソ者の本来の役目だからです。ヨソ者が側に居続けなければならないということは、住民だけでムラを豊かにすることができないということを意味しますから、ヨソ者の立場として、まずは住民の側に寄り添いながらも、少しずつ意図的に住民との距離を置きながら住民の自立のための成長機会をつくっていくことが求められます。だからこそ、「ヨソ者の住民離れ問題」を所与の条件としながら、ヨソ者を使い倒しながらも、ヨソ者に依存し過ぎないことが大切になります。



③ヨソ者との対等性を維持する

院内研修の際に外部講師を依頼する時など、ヨソ者と言えば「◯◯先生」と呼ばれるような存在がイメージしやすいでしょう。そうすると、暗黙的にヨソ者(教える側)を自分たち(教わる側)より上の立場としてとらえてしまい、「◯◯先生がいう事は正しい」「◯◯先生に意見するのは躊躇する」といったように、対等な関係が保たれなくなってしまいかねません。


組織変革において重要なのは対等性です。組織においても、上司や部下といった言葉を使う(僕も便宜的使いますが)と前者が上、後者が下といったイメージになりやすいですが、ただの役割の違いに過ぎません。同様に、ヨソ者との関係においてもただの役割の違いに過ぎませんから、組織全体のあるべき姿と現状のギャップを埋める壮大な旅を続けるなかでは、いかにヨソ者との対等性を維持としていくかが重要になります(もちろん、「対等な関係」とは「なあなあの関係」ということではありません)


ただ、医療機関という法人とヨソ者という個人の対等性を前提とすれば、ヨソ者が「◯◯先生」と呼ばれるくらいのほうがバランスが取りやすいでしょうから、その意味合いにおいては、あえて「◯◯先生」という呼び方しておくのも一つの考え方です。


いずれにしても、リーダーには、対ムラと対住民の両方の視点で、ヨソ者との対等性を維持していくバランス感覚が求められます。

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