• 佐藤 和弘

組織変革は「経験年数至上主義」からの脱却が重要になる


自組織を2:6:2に分ける際に陥りがちな罠が、「管理者を推進派だと暗黙的に捉えてしまう」ことだ。


医療では、未だ「経験年数」の長いスタッフが管理者になるのが一般的だろうが、経験年数が長いからといって推進派とは限らない。むしろ、経験年数が長いほうが抵抗派になる場合も少なくない。長年の経験を通じた「過去の成功体験」が負の遺産となり、「現在に過剰適応」してしまった結果、「未来への変化」に適応できなくなってしまうからだ。ただ、だからといって、逆に経験年数の長いスタッフを抵抗派だと安易に決めつけることも避けなければならない。それは「人による」からだ。


そもそも、組織の2:6:2の法則の判断基準は、「どれだけビジョンに共感しているかどうか(どれだけあるべきスタッフ像に近いかどうか)」である。よりビジョンに共感している(よりあるべきスタッフ像に近い)スタッフが推進派であり、よりビジョンに共感しない(あるべきスタッフ像から遠い)スタッフが抵抗派である。


したがって、理想論を言えば、経験年数を度外視して2:6:2に分けるべきだ。たとえ新人や若手であっても、自施設(組織)のビジョンに強烈に共感し、それに基づく行動を取るスタッフは推進派と捉え、たとえベテランで仕事をテキパキとこなしていたとしても、それが自施設(組織)のビジョンとはかけ離れていれば抵抗派と捉えなければならない。


ただ、現実論を言えば、ある新人や若手を推進派と捉えようとしても、権限や専門性が低ければ、もっと言えば新人や若手というだけで、他のスタッフは情理的に抵抗を示すかもしれない。だが、その時は、権限や専門性を持った他の推進派スタッフが表に出るなどして協力すればいい。


また、あるベテランを抵抗派と捉えようとしても、一見すると仕事ができると、躊躇することもあるだろう。だが、その時は、「現在の業務」をこなす役割のスタッフと、「未来の業務」を創る役割のスタッフの両方が大事だと考えればいい。未来の業務を創るために推進派が時間と労力を費やせるのも、現在の業務をこなしてくれるスタッフがいるからだ。組織変革はこの「両利き」で成り立つのである。だから、その意味では、仕事ができるベテラン抵抗派も、組織変革を担う重要な役割を演じてくれているのである。


このように、理想論と現実論の間に答えを見つけながら、経験年数(や一見した仕事のでき)に惑わされることなく、ビジョンへの共感度(あるべきスタッフ像への類似度)を判断基準として明確に持ち、2:6:2を考えていく必要がある。

© 2013 by Kazuhiro Sato