top of page
  • Writer's picture佐藤 和弘

「手段としての◯◯思考」によって未来を想像していく

Afterコロナにますます加速するであろうテクノロジーの時代において、医療者(人間)のスキルと人工知能(やロボット)の関係に関する未来を想像しておくことは、変化に適応するために大切です。


人工知能は、高度な推論(例えば医療の診断など)よりも、「画像を認識する」「物をつかむ」といった子どものできることほど難しい。その理由を


「理屈で説明するのが難しいから」


ととらえてみると、基本的にテクニカルスキルのほうがノンテクニカルスキルよりもテクノロジーに代替される可能性が高くなるかもしれません。


例えば、普段の人間関係ひとつとっても分かるように、


「なぜ◯◯さんがニガテなの?」 「なんとなく・・・」


といったように、理屈で説明しにくい、言い換えれば不確実性が高いノンテクニカルな問題は、テクニカルな問題よりもテクノロジーによって解決しにくいのではないでしょうか。


この人と人の直接の関わり合いという人間関係もさることながら、人が集まり組織ができることによって生まれる「空気」は、目に見えないだけにさらに不確実性が高く、理屈で説明することが難しいと言えます(もちろん、ノンテクニカルスキルは、その空気を理屈で説明しようと努力するものではありますが)。


一方で、医療は医療者が持つテクニカルスキルをノンテクニカルスキルによって患者さんに届ける、つまり、


医療者(A地点) ノンテクニカルスキル 患者さん(B地点)にテクニカルスキルが届く


ことだととらえてみると、従来、A地点からB地点にテクニカルスキルを届けるために求められていたノンテクニカルスキルが、テクノロジーに代替されるということも想定できます。


医療者(A地点) テクノロジー 患者さん(B地点)にテクニカルスキルが届く


したがって、テクノロジーの時代において、「どのようなテクニカルスキルやノンテクニカルスキルがテクノロジーに代替されていくのか?」、言いかえれば、「どのようなテクニカルスキルやノンテクニカルスキルがテクノロジーに代替されない(されにくい)のか?」を考えながら、未来の変化に適応するために、「スキルセットの再構築」をしていくことが大切になります。


ただ、このように考えると、医療者(人間)のテクニカルスキル vs 医療者(人間)のノンテクニカルスキル、医療者(人間)のスキル vs テクノロジー(人工知能やロボット)といった対立構造にとらえてしまいがちですが、全ては患者さんをハッピーにするという目的のための手段です。したがって、これら「手段の目的化による対立構造」を解消するために、


「手段としてのテクニカルスキル」 「手段としてのノンテクニカルスキル」 「手段としてのテクノロジー(人工知能やロボット)」


といったように、「手段としての◯◯思考」によって未来を想像していくことも大切になります。

Recent Posts

See All

ワンフレーズ・ノンテクニカルスキル17

「朝令暮改力」 生成AIの登場のように、ある1つのプロダクトやサービスによってBefore→Afterで突然世界が変わる時代、リーダーには朝令暮改力が求められる。だが、「これまで言ってきたことと違うことを言う」ということは、リーダー自身の情理的な抵抗感もさることながら、ともするとスタッフとの信頼関係を損ないかねない難しさがある。そのうえでポイントは3つ。1つ目は「変わらない目的軸(芯)を持ち、それ

ワンフレーズ・ノンテクニカルスキル16

「フレームワークのジレンマ」 物事を視点に分けてとらえるフレームワークは、本来は考えるための道具であるにも関わらず、フレームワークを使うことで満足してしまい、考えることをやめてしまうと本末転倒になる。考えるための道具であるフレームワークを使うことによって、考えることをやめてしまうジレンマ。フレームワークは部屋(思考)の整理整頓(片付け)。スッキリして気分が良くなるが、大事なことは、整理整頓した後に

ワンフレーズ・ノンテクニカルスキル15

「学び方を学ぶ」 組織学習は、「料理教室方式」から「おばあちゃんの知恵袋方式」へと進化が求められる。ヨソ者(講師)から学ぶ前者は、ヨソ者がいる時しか学べないのに対して、自分たちで教訓を引き出し学ぶ後者は、日常業務のなかで常に学び続けることができる。学びの量は比較にならない。ここで言う「学び方」というのは、「計画」「実行」「振り返り」「教訓」のサイクルを組織全体で回すこと。学び方を学んだ組織は、自分

bottom of page