top of page

生成AIによって能力をジャンプする

  • Writer: 佐藤 和弘
    佐藤 和弘
  • Feb 21, 2024
  • 3 min read
ree

この予測はつまり、2040年までに不足することが見込まれる96万人分の現場スタッフの能力を補うための問題解決を、これから行っていかなければならないことを意味しています。これはもう、


「もはや、人力だけでどうにかできる状況ではない」


というのが、率直な感想ではないでしょうか。であれば、人ではない「何か」の力(能力)を使うしかない。これが、僕が生成AIの活用を強く推している、長期的な理由です。


ただ、短期的に見ても、生成AIの活用を強く推しています。それは、人が能力を高めるというのは、そう簡単にできるものではないと考えているからです。


例えば、ノンテクニカルスキルの「考える力」の領域に当てはまる「論理的思考」ひとつとっても、何回か研修を受けた、何冊か本を読んでみた、くらいで身につくものではないというのは、実は多くの人たちが実感していることなのではないかと思います。これは自然なことで、簡単に論理的思考が身について、スタッフ同士で論理的なコミュニケーションが取れるのであれば、皆さん現場の人間関係で苦労はしてないはずです。


何をもって論理的思考が身についたと考えるかにもよりますが、この能力開発ひとつとっても、何十何百時間、あるいは何年間といった単位で取り組まなければ、本来は難しいものではないかと思います。ここで大事なことは、


「現在の医療現場において、スタッフ1人ひとりに、それだけの教育の機会を提供(投資)できるのか?」


という問いです。時間的にも労力的にも、そしてもちろん金銭的にも。


この問いの答えがノーなのであれば、一足飛びにジャンプできる何らかの工夫が求められます。それが、言わば「人間の脳の拡張」「人間の脳への外部接続」としての生成AIです。


人が本来何十何百時間、何年間とかけてようやく身につけることができる能力を、生成AIによって一気に(間接的にではあるが)獲得する。その何十何百時間、何年間をジャンプして、一気にあるべき姿へと向かっていく。そこには、人力ではたどり着くことができなかった(難しかった)景色が待っているはずです。このように言うと、


「これまであんなに苦労して能力開発に努力してきたのに・・・」


と嘆きたくなる人もいるかもしれません(もちろん、僕自身も例外ではありません)。ただ、例えば「論理的に問題解決プランを作成する」といったこと自体が、人間の本当の能力を発揮する場面ではないはずです。その答えは、僕が以前から言っている「そういう問題じゃない問題」にあります。いくら生成AIが作成した論理的に正しい問題解決プランがあったとしても、


「そういう問題じゃないんです!私は◯◯さんのことを信頼しているからやるんです!」


といったように、その問題解決プランに人の情理が通ってこそ、他者を動かすことができるリアルなプランになる。このようにとらえてみると、生成AI時代に人間側が本当にこだわるべきは、生成AIの生成物を「(いくら生成AIが素晴らしいものをつくり出したとしても)そういう問題じゃない!」と言えるような領域ではないかと思います。そしてその先には、本来やりたかったことが待っているかもしれません。

Recent Posts

See All
「生成AIに教育者になってもらう」ページを追加しました

「生成AI×ノンテクニカルスキル」の一連のページに、新たに「生成AIに教育者になってもらう」ページを追加しました。 https://www.medi-pro.org/ai4 このページでは、「ノンテクAI教育者」のデモ動画を公開しています。僕が新人スタッフを演じ、生成AIに問題解決の六大大陸(世界地図)について教えてもらっています(デモ動画では「目的」について教えてもらう内容)。 以下が、そのため

 
 
 
「身体性」と「現実世界(現場の半径5メートル)への接続」という人間側の圧倒的な優位性

人は、何か自分に強く自信のあることを持っていれば、他のことはたいてい寛容になる生き物だととらえてみると、「次の単語(トークン)を予測する」という方法で、あれだけ瞬時に、膨大な情報を、論理的に生成する生成AIを脅威に感じるかどうかもまた、人間側が何を自信として持っているかによって変わってくるでしょう。 このことに関して、医療現場においても、少なくとも当面の間は人間側の圧倒的な優位性として自信を持てる

 
 
 

Comments


© 2013 by Kazuhiro Sato

 

bottom of page