一般論として、医療における研修は、現場業務という日常の場とは切り離された非日常の場になりやすいと言えます。たしかに、業務の合間に行われる研修は、その間だけは日常(の忙しさ)を忘れさせてくれる、休息の場という側面も実際にはあるでしょうし、そのような場があること自体は有意義でしょう。
そのようなメリットがある一方で、非日常の場で学ぶデメリットがあるとすれば、それは「日常に戻ると目が覚めてしまいやすい」ということだと言えます。
プライベートでも、テーマパークという非日常の場から普段の生活という日常の場に戻ったとき、あのような楽しい時間と空間の暮らしが続くとは思わないはず。これは言い換えれば、日常の場に戻った時に、自然と目が覚める(目を覚まさざるを得ない)ということです。
同様に、研修という非日常の場から現場業務という日時の場に戻った時に、
「研修は楽しかったけど、実際の(現場)業務ではあんなに楽しく過ごすことはできないよね」
「やっぱり、研修はあくまでも研修で、(現場)業務とは違うんだ」
といったように、アレ(研修)とコレ(現場業務)を別のものだととらえてしまいかねません。そうすると、研修と現場業務に距離間ができてしまい、せっかく研修で学んだことが、なかなか現場業務に活かされない、といったことが起こやすいのではないでしょうか。
だからこそ、あくまでも現場の問題解決の文脈で研修を考えるならば、大事なことは、あえて「日常を忘れさせない学びの場づくり」もしていくことです。
僕はよく「研修の現場化」と言っていますが、そのためには、実際の現場の出来事(事例)を研修に持ち寄って学び合い、そこでの学びを現場に持ち帰り、引き続き取り組んでいくという、研修と現場の段差をなくした「なめらかにつなぐ学び場」の設計が求められます。
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